「将来も日当たりが確保され続けるかどうか」を確認する方法
それでは本題の「将来も日当たりが確保され続けるかどうか」を確認する方法です.
先におおまかな流れをお伝えすると以下の2ステップです.
【STEP1】将来周辺敷地が変わる?変わらない?
・変わらない → OK
・変わる → STEP2へ
【STEP2】どれくらい変わる?
・日当たりに影響しない変化 → OK
・日当たりに影響する変化 → NG
【STEP1】周辺敷地が将来「変わる敷地」なのか「変わらない敷地」なのかを確認する
まずは自宅マンションの周辺敷地が、将来「変わる敷地」と「変わらない敷地」のどちらに該当するのか確認していきます.
確認の結果、「変わらない敷地」だった場合は、その時点で今と変わらない日当たりが将来も確保できると言えます.
一方で、「変わる敷地」だった場合は日当たりが悪くなる可能性があるので【STEP2】に進んで更なる確認をします.
STEP1-1 Googleマップで周辺敷地を3D表示する
まずはGoogleマップを開いてマンションの周辺敷地を3Dで表示しましょう.
Googleマップを使ったことのない方は下記の手順を踏んでください.
①GoogleマップのHPにアクセスする
②右上のログインボタンからログインする(※ログインしないと3D表示できません)
③検索窓にマンションの住所を入力し検索する
④左下の「レイヤ」と書かれたところを1回クリックして地図表示を航空写真に切り替える
⑤右下の「3D」と書かれたボタンをクリックする

Googleマップの3D表示を使うことで、建物や敷地の高さ方向が視覚的にわかるようになります.
STEP1-2 将来「変わる敷地」なのか「変わらない敷地」なのかを確認する
周辺敷地を表示出来たら、将来「変わる敷地」なのか「変わらない敷地」なのかを見ていきます.
以下に「変わる敷地」と「変わらない敷地」をそれぞれまとめました.
周辺敷地がどれに当てはまるのかをGoogleマップ上で確認してみてください.
変わらない敷地(半永久的)
以下の項目に面する敷地は余程のことがない限り変わることがないので日当たりを確保することに関しては最も望ましい敷地です.
ただし、日当たり以外に関しては懸念事項もありますのでトータルで判断する必要があります.
・公園
眺望も良く、自分自身でも利用できる為、非常に良い環境です.
ただし、騒音や虫が苦手な方は注意が必要です.
・川/海
眺望が良く、特に湾岸のタワマンなどで人気が高い条件です.
ただし、匂い問題や海に近い場合は塩害のリスクがあります.
・幹線道路
眺望が良いとは言えませんが、建物が建たないので日光を遮られることはありません.
ただし、騒音及び大気汚染の問題があります.
・線路
幹線道路と同様に、眺望が良いとは言えませんが、建物が建たないので日光を遮られることはありません.
ただし、騒音の問題があります.
・寺社仏閣
基本的に取り壊しになることはないので、購入時に日当たりがあれば、将来も日当たりの心配は不要です.
ただし、建物の用途的に気になる人もいるでしょう.
・墓地
寺社仏閣と同様に、基本的に取り壊しになることはありません.
敬遠されがちですが、墓地ビューが気にならない方にとってはメリットありです.
変わらない敷地(変わる可能性が低い)
以下の項目に面する敷地は半永久的にとまでは言えませんが変わる可能性が低いものです.
・築年数の浅い鉄筋コンクリート造の建物
鉄筋コンクリート造は鉄骨造や木造の建物に比べて耐用年数が長いのでそう簡単に取り壊されることはありません.
更にそれが分譲マンションであれば、取り壊そうと思うと所有者の合意が一定数以上必要になるので、より取り壊すのが難しくなります.
もし取り壊しが決定したとしても、その頃は自分のマンションも取り壊しを検討する時期にきているハズです.
基本的に鉄筋コンクリート造の建物は長持ちしますが、大規模再開発などによって築浅の場合でも取り壊しとなる場合があるので、特に都心などの地価の高い場所では注意が必要です.
・学校
ひと昔まえであれば半永久的に変わらないと言えたかもしれませんが、近年は少子化の影響で閉校になる学校も出てきたのでちょっと読みづらいと言うのが本音です.
地域の状況によっては「変わる敷地」と判断してSTEP2に進んでも良いでしょう.
変わる敷地(可能性が高い)
以下の項目がある敷地は将来変わる可能性が高く、場合によっては自宅の日当たりが悪くなることがあるので注意が必要です.
・築年数が経過した建物
当然ながら物には寿命があります.
その為、築年数が経つほど取り壊しとなる可能性が高くなります.



国税庁が定める法定耐用年数は鉄筋コンクリート造47年、鉄骨造34年、木造22年です.
これは減価償却を計算する上での数値なので実際にはもっと長く使えるでしょうが、実際に使える期間の長さも、概ね鉄筋コンクリート造>鉄骨造>木造という関係になると思っても良いでしょう.
・鉄骨造の建物
分譲マンションは基本的に鉄筋コンクリート造です.
その為、耐用年数が短い鉄骨造の建物は先に取り壊しとなる可能性が高いです.
特にコンビニなどの店舗でよく使われる軽量鉄骨造は鉄骨造の中でも耐用年数が短いので注意が必要です.
・木造住宅
鉄骨造と同様に鉄筋コンクリート造と比べて耐用年数が短いので、先に取り壊しとなる可能性が高いです.



戸建て住宅単体での建て替えであれば最悪でも2階建てが3階建てになる程度かもしれませんが、一帯の土地を集約しての建て替えとなれば大きな建物が建つ可能性があります.
・空きテナントが多いビル
築年数がそれほど経ってなくても、水面下で建て替えの計画が動いている可能性が高いです.
3D表示では確認しづらいので、ストリートビュー機能を使うと歩行者目線で建物を見ることができます.
・空き地(駐車場も含む)
ポツンとコインパーキングになっているような敷地は、周辺の他の敷地と一体開発するために一時的にそうしている場合が多いです.
・畑
畑は既存建物を解体する必要がないので、建物を建築しやすい状況と言えます.



「変わる敷地」に該当した場合はSTEP2に進みます.
【STEP1】まとめ
周辺敷地が「変わらない敷地」だった場合は購入後も日当たりを確保出来そうなので、購入したとしても日当たりで後悔することはないでしょう.
一方、「変わる敷地」だった場合はまだ購入に踏み切るのは早いと言えます.ステップ2に進んで更なる確認をしましょう.
【STEP2】周辺敷地が将来「どれくらい変わるのか」を確認する
【STEP1】で確認した結果、周辺敷地が将来「変わる敷地」だったとしても、「日当たりに影響しない変化」であれば問題ありません.
しかし、「日当たりが確保できなくなるほど変わる」のであれば、あまり購入をオススメできません.
その判断をする為に、「将来どれくらい変わる可能性があるのか」を確認する必要があります.
ただ、その確認方法が少々厄介です.
なぜなら、正確に確認しようとすると法律や条例を理解する必要があるからです.
実際、実務で建物の設計をしている建築士でないとなかなか完璧に理解するのは難しいと思います.
【なぜ法律や条例が必要?】
みんなが好き勝手に建物を建ててしまうとぐちゃぐちゃで暮らしにくい都市になってしまいます.
それを防ぐために国、都道府県、市区町村がそれぞれルールを定めています.
そして、建物を建てる際は関係する全てのルールを守る必要があります
【なぜ難しい?】
具体的なルールとして法律(建築基準法、都市計画法etc)や条例(まちづくり条例、景観条例etc)などがあります.
それらのルールは複雑に絡み合っており、更に自治体ごとで独自のルールがあったりします.
その為、一概に「この場合はこうです」と説明することが難しいのです.
例えば同じ形状、同じ面積の敷地があったとしても、場所が東京都なのか神奈川県なのかで建築できる建物が変わったりします.
そこで今回は、日当たりに大きく影響する「建物の高さ」のみにマトを絞り、周辺敷地に「どれくらいの高さの建物が建てられるのか」を確認していきます.
確認の結果、周辺敷地に「自宅の日当たりを阻害する高さの建物」が建たないことがわかれば、たとえ将来「変わる敷地」だったとしても日当たりを確保し続けられると言えます.
これからご紹介する方法は、わかりやすさを重視するため、本来は非常に複雑な法律や条例を部分的に切り取って解釈しています.
その為、正確に精査した場合とは結果が異なる場合があります.
最終的に購入を判断する場合は販売元や役所の建築担当の窓口などで確認することを強くオススメします.
STEP2-1 インターネットで「都市計画図」を検索する
まずはインターネットで「都市計画図」を検索しましょう.


都市計画図の例(引用元:横浜市行政地図情報提供システム「iマッピー」)
「都市計画図とは」
その名の通り「都市の計画を示した図」です.
それを見れば「将来の周辺敷地」を予測することができます.
役所の窓口でも入手可能ですが、最近は大抵の市区町村が専用HPを作成しているので「○○市_都市計画図」で検索すれば誰でも簡単に閲覧することができます.(横浜市の場合は横浜市行政地図情報提供システム「iマッピー」がそれに該当します)
STEP2-2 「周辺敷地がどの用途地域に該当するか」を確認する
都市計画図のHPが表示できたら、「周辺敷地がどの用途地域に該当するか」を確認しましょう.


用途地域検索結果の例(引用元:横浜市行政地図情報提供システム「iマッピー」)



上図はランドマークタワーの用途地域を検索した画面です.
画面左側の「詳細情報欄」を見れば「商業地域」であることがわかります.
「用途地域とは」
都市計画法によって定められた「土地のエリア分け」のことです.
ざっくり言うと、土地を「住むことメインの地域」「買い物メインの地域」「物作りメインの地域」の3種類のエリアに分けているのです.
それにより建築できる建物に制限を設けて、ぐちゃぐちゃで住みにくい都市になるのを防いでいます.
都市計画図では用途地域ごとに色分けされて表現されます.



皆さんが今住んでいる家も基本的には3種類のエリアのどれかに建っています.
上記の3種類に分けられたエリアを都市計画図での言い方に直すと、
「住むことメインの地域」→【住居系】
「買い物メインの地域」→【商業系】
「物作りメインの地域」→【工業系】
となります.
そしてそれらは制限の内容によって以下の「13種類の地域」に細分化されています.
【住居系】
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・田園住居地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
【商業系】
・近隣商業地域
・商業地域
【工業系】
・準工業地域
・工業地域
・工業専用地域
【マンションを建築できる用途地域は?】
マンションは住むためのものだから「住居系」に建っていると思われるかもしれませんが、「商業系」及び「工業系」にも建てることが出来ます.(ただし、「工業専用地域」だけは建築できません)
それは、買い物や物作り「メイン」の場所であって「専用」の地域ではないからです.
ただし、「商業系」及び「工業系」は「住むことメインの地域」でない分、住環境を守る為の制限は「住居系」よりも緩くなり、大きな建物も建てやすくなります.
駅周辺や湾岸の埋立地などは「商業系」及び「工業系」に該当する場合が多いですが、大きな建物が建ち並んでいるのがイメージできると思います.



「第一種低層住居専用地域」から「工業専用地域」に向かって住環境を守るための制限が緩くなっていくイメージです.
周りに建つ建物が大きくなると、日当たりが悪くなる可能性も高くなるため、周辺敷地が属している用途地域を確認することは非常に重要です.
STEP2-3 該当する用途地域で建てることができる建物の高さを確認する
用途地域の確認が出来たら、その用途地域で「どれくらいの高さの建物が建てられるのか」を見ていきます.
以下にまとめましたので、都市計画図と照らし合わせて確認してみてください.
【住居系】
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・田園住居地域


第一種低層住居専用地域の例(横浜市栄区桂台付近)
上記3つの用途地域は「絶対高さ制限」が設けられており、建物の高さが10m(12mの場合もあり)に制限されています.
仮にあとから建物が建てられたとしても10m(もしくは12m)を超えることはありません.
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域


第一種中高層住居専用地域の例(横浜市磯子区洋光台付近)
上記5つの用途地域には、「絶対高さ制限」は設けられておりませんが、高さを制限するものはそれだけではありません.
様々な高さ制限がありますが、その中でも「高度地区」と「地区計画」は頻繁に目にする高さ制限です.
【高度地区とは】
市区町村が独自に定める高さ制限です.
その為、地域によって制限高さが異なります.
(横浜市の高度地区は第1種〜7種まで計7種類設定されています)
【地区計画とは】
都市計画が都市全体の大枠のルールであるに対して、都市の特定の地区を対象として、その地区の実情に合わせて細かく作られた地区独自のルールです.
建物の高さ以外にも、建物用途、敷地面積、外壁の後退距離などの制限を定めることができます.
その他にも、建築協定、風致地区、景観条例、まちづくり条例などの高さ制限があります.
各自治体によってHPの作りが異なりますが、「用途地域」を調べた際に、「高さ制限」も一緒に一覧表示される場合が多いです.
その中の最も厳しい制限がその敷地の制限高さとなるので見落とさないようにしましょう.
横浜市の「iマッピー」では以下のように画面左側に一覧表示されます.


用途地域とともに一覧表示される高さ制限の例(引用元:横浜市行政地図情報提供システム「iマッピー」)



ランドマークタワーの高度地区は「第7種高度地区」、地区計画は「みなとみらい21中央地区地区計画」であることがわかります.
【商業系】及び【工業系】
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
(※工業専用地域だけはマンションを建築できません)


商業地域の例(横浜市西区みなとみらい付近)


準工業地域の例(東京都中央区豊海付近)
上記に分類される用途地域も「絶対高さ制限」は設けられておりませんが、住居系と同様に「高度地区」や「地区計画」などの高さ制限が設けられている場合がほとんどです.
住居系で定められるものより制限高さは高く設定される傾向にありますが、基本的に最も厳しい制限がその敷地の制限高さとなります.
「基本的に」と言ったのは、例外があるからです.
そして、その例外というのは「再開発」される場合です.
再開発されると元々設けられていた高さ制限が緩和されて、より高い建物が建つことがあるので要注意です.
【どんな場所で再開発されやすい?】
「商業系」及び「工業系」の全てのエリアで再開発されるかといえばそんなことはありません.
再開発にはある条件が揃う必要があると考えています.
その条件とは「まとまった土地」と「駅近」です.
「商業系」及び「工業系」は元々商業施設や工場が建つエリアです.
住居系と比較して1つ1つの建物が大きいので、まとまった広い土地を確保しやすいという特徴があります.
そのような特徴を持っていて、かつ駅近であれば需要が見込めるため将来再開発される可能性が高いと言えます.
住居系エリアは再開発される可能性がゼロとは言えませんが、商業系及び工業系の方が再開発の条件が圧倒的に揃いやすいといえます.
再開発の場合、正直言って「高さ」や「建物配置」を予測することは難しいです.
「まとまった土地を確保できそう」かつ「駅近」のマンションを購入検討する方は、将来再開発によって現状の制限を超えた高い建物が建つ可能性があるということを頭に入れておきましょう.
【STEP2】まとめ
用途地域ごとに「どれくらいの高さの建物が建てられるのか」を簡単にまとめると以下の通りです.
【第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域】
・10m(もしくは12m)
【第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域】
・最も厳しい制限がその敷地の制限高さ(高度地区・地区計画など)
【商業系・工業系】
・最も厳しい制限がその敷地の制限高さ(高度地区・地区計画など)
ただし、「まとまった土地」+「駅近」=再開発により高さ制限が緩和される可能性が高いので要注意
以上を踏まえて「結局どんなマンションを買えばいいのか?」ということを最後にお伝えしたいと思います.